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2022.11.17conference

研究集会「水中災害考古学研究への水底表層コア試料の活用」プログラム公開&参加者募集

地球掘削科学国際研究拠点 令和4年度共同利用・共同研究集会
「水中災害考古学研究への水底表層コア試料の活用」


趣旨:海に囲まれた国内には多数の水中遺跡が存在する.特に歴史時代の水中遺跡の中には,それが水中に存在する原因として災害が関係しているものが多くある.しかし,水中にあるという調査困難さ故に,十分な科学的検討がなされていないものがある.災害大国である我が国では,水中遺跡の調査は,現在の災害の想定に無い未知の自然災害の記録が残されているものがあると考えられる.しかし,海外と比較して国内の水中遺跡研究は必ずしも進歩しているとは言えない.その原因の一つとして,考古学分野と自然科学分野の学際的な協力が出来ていないことが挙げられる.申請者らはこの協力関係を実現すべく,自然科学分野からは水中に関係する地形学,地質学,地球化学と水中遺跡調査を潜水調査や音響調査によって行ってきた考古学研究者を結集し,「水中災害考古学」を提唱して共同研究を実施している.テストフィールドとして2021年に実現した福島県・桧原湖における合同研究では,想定していた湖底遺跡の調査を成功裏に実施し,遺跡が水中に定置する理由となった1888年の火山噴火,火山体の崩壊,集落水没に対し,人々がどのように反応したのかについて研究の筋道が立てられた.災害のプロセスに関しては自然科学者が,人々の反応に関しては考古学者が復元を行うことでより解像度の高い災害―人間生活の関係の分析が可能になる.巨大火山噴火や山体崩壊は,周囲に多くの堆積物を供給する現象である.さらには,湖のような水底には高精度で有機物など,環境変化と関係する堆積物が沈積する.場合によっては,年代を堆積物の層序から推定し,歴史時代のタイムスケールにおいても高精度でその環境変遷が復元できる可能性がある.しかし,このような観点から近代遺跡と水中堆積物を結びつける研究はこれまで無いと思われる.先に述べた桧原湖湖底遺跡の合同研究では今後表層コアの採取に取り組む予定であり,本研究集会ではその成果を研究者間で共有することが目的である.


場所高知コアセンター・B棟セミナー室

日時:2022年12月21日(水)14:00~12月22日(木)12:10

発表形式:対面・オンライン(ZOOM)※ハイブリッド形式

参加方法:対面(セミナー室で直接視聴)、およびオンラインによる参加希望者は下記【研究集会参加申し込み】から申請をお願いします.

参加対象者:国内の研究機関に所属する研究者(学生を含む).上限100名. 

参加登録締切:12/19(月) 正午 (登録上限に達した場合は、その時点で締め切ります) 

主催:京都大学・高知大学海洋コア総合センター

幹事:山﨑新太郎(京都大学防災研究所)・山本裕二(高知大学海洋コア総合研究センター)


【研究集会参加申し込み】






【プログラム】
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12/21(水)「桧原湖水中遺跡を対象とするこれまでの研究成果」
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14:00-14:10

山崎 新太郎 (京都大学 防災研究所)
「集会趣旨説明」

14:10-14:30
谷川 亘 (海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所)
「桧原湖水中遺跡と水没をもたらした火山災害の全容解明を目指して」

14:30-14:50
山崎 新太郎 (京都大学 防災研究所)
「桧原湖における音響調査の概要とその成果」

14:50-15:10
北田 数也 (海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門)
「桧原湖における磁気探査の概要とその成果」

15:10-15:30
中川 永 (豊橋市役所 教育部 美術博物館 文化財センター)
「水中考古学班の調査成果と展望 」

15:30-15:50
休憩

15:50-16:10
谷川 亘 (海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所)
「物質班調査成果速報 :湖底表層堆積物の分析結果の紹介」

16:10-16:30
山本 哲也 (海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所)
「桧原湖湖岸の発掘調査・陸上部の調査について 」

16:30-17:00
総合討論

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12/22(木)「桧原湖と水中災害遺跡の研究・保存・活用」
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9:30-9:40
山本裕二 (高知大学 海洋コア総合研究センター)
「趣旨説明と特別講演者の紹介」

09:40-10:10
山元 孝広 (産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)
「磐梯火山の形成史と1888年噴火」 オンライン

10:10-10:40
佐藤 公 (磐梯山噴火記念館)
「磐梯山噴火の災害とアウトリーチ 」

10:40-11:00
休憩

11:00-11:30
葉田野 希 (長野県環境保全研究所)
「諏訪湖とその集水域の古環境―更新~完新統堆積物コアの研究紹介―」

11:30-12:00
近江 俊秀 (文化庁)
「埋蔵文化財保護の観点からみた水中遺跡」

12:00-12:10
谷川 亘 (海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所)
「水中災害考古学の展望」